【上野】仁和寺展① 博物館の中に観音堂が出現
東京国立博物館にて開催中の特別展
「仁和寺と御室派のみほとけ -天平と真言密教の名宝-」
みどころ① 空海さんゆかりの三十帖冊子
空海さんが唐で書写して持ち帰った経典・儀軌類。
・唐の書生さんが写した箇所
・空海さんが写した箇所
・たちばなのはやなりさん(三筆の一人だそうです)が写したと思われる箇所
がそれぞれ展示されていました。
会場は全体的に空いていましたが(一月下旬来訪時)、空海さんの写した箇所の前だけやや混雑していました。
横長のメモ帳(A5のノートを横向きにして開いたような)といった感じで、意外と小さい。
古文書を読めない私が思うことは一つ。
「全員、字がうまい」
空海さん、たちばなのはやなりさんは書の達人ですから当然として、唐の名もなき書生(?)の方も字が上手い。完璧な書道のお手本のようでした。
空海さんの字は良い意味で独特な感じを受けます。
一文字がそれ自体で完成されているというか、芸術を感じるというか。
が、それ以上何か述べられるほどの知識もなく(一応習字を7年習ってはいましたが)、「ほお、これが空海さんの字かぁ。なんか芸術的」と千二百年前に思いを馳せるにとどめるのでした。
少し話が逸れますが、空海さんの肖像(絵)を見るとなぜか和んでしまいます。
あごががっしりしていて、なんとなく四角いフォルムの頭。
歴史上の偉人でありながら、友達のだれかに似ていそうな親近感です。
悩み事を相談したい感じ。
みどころ②ー観音堂再現がすごすぎる
第四章では仁和寺の観音堂が再現されているのですが、これがもう、素晴らしい。
全33体の仏像たちがずらりと並んでおられます。
しかもここだけ撮影OKという太っ腹ぶり(※フラッシュはNGです)。
一体一体、じっくり観ていたらあっという間に何時間も経ってしまう、そんな空間となっていました。
ここも比較的混雑していますので長時間は立ち止まりづらいかもしれません。
じっくり観たい派の方はオペラグラス等で後方から見るのがおすすめかも。
この時点でだいぶ満足しているのですが、観音堂の内陣の壁画も見応えがあります。
本尊である千手観音に合わせ、観音菩薩の様々な姿やその救いの有り様を描いているのだそう(展示パネルより)。
みどころ③ー秘仏もたくさん
いやはや、観音堂、すごかった、と余韻に浸る間もなく、この後貴重な仏像たちが次々と登場します。
以降は撮影禁止なので、自分のノートから(写真はパンフレットを切り抜いたものです)。
降三世明王立像
明通寺の降三世明王(ごうざんぜんみょうおう)立像は2メートル5センチ、かなり大きくて見応えがありました。
過去、現在、未来の三世と、貪(むさぼり)、じん(怒り)、痴(無知)の三毒(煩悩)を降伏する(抑え鎮める)仏
参考文献:石井亜矢子『仏像の見方ハンドブック』p74,75
なのだそうです。
足元には……邪鬼ではなくて、ヒト? と思いきや、神だそうです。
左足で大自在天(シヴァ神)、右足で烏摩(シヴァ神の妃)を踏んでいる。起源の神を踏むことでさらに強力な仏であることを示している。
参考文献:石井亜矢子『仏像の見方ハンドブック』p74,75
如意輪観音菩薩坐像
如意輪観音菩薩坐像(にょいりんかんのうぼさつざぞう)は兵庫の神呪寺からいらしてました。5月18日のみに開扉される秘仏(!)だそうです。
年一回の開扉という秘仏なのに、こんなにまじまじと拝見してよいものか、と湧き上がる謎の遠慮。
願いをかなえてくれる仏です。
けだるそうな表情(と表現していいのかわかりませんが)が素敵。
他に印象に残った仏像としては
龍華時の菩薩坐像:お顔が綺麗
屋島寺の千手観音:手が今にも動き出しそう
こちらはパンフレットにも載っていないので、写真なしですが。
まだまだ挙げればキリがないのですが、とにかく、満足感とともに展示室を出たのでした。
参考:展示物の概要
ざっくりまとめると
前半部分(第一~三章):書、肖像画、古文書など
後半部分(第四、五章):仏像
という感じです。
第一章 仁和寺に伝わる天皇直筆の書、歴代の肖像画、古文書など
第二章 修法の場で用いられる仏具や法具
第三章 仁和寺および御室派関係寺院に伝わる絵画・書跡・工芸品
第四章 仁和寺観音堂(再現)
第五章 御室派寺院の仏像
会期後半戦の目玉
2月14日~は葛井寺の千手観音が登場するとのこと!
ずっと見てみたかったので、私ももう一度行くつもりです。
www.tnm.jp