【奈良】興福寺 東金堂 ―厳しいお顔の維摩居士像
奈良に行くと、興福寺に必ず寄ります。
貴重な仏像がたくさんいますし、駅からのアクセスが良好。
時間の都合上、今回は東金堂のみ見学しました。
(リニューアルしたばかりの国宝館も観たかった!!!!)
雨が降っていて写真を撮る余裕がなかったので、一昨年の写真を。
東金堂の本尊は薬師如来。
日光・月光菩薩、さらに文殊菩薩、維摩居士が薬師如来の両脇を支えます。
彼らを囲むように配置された十二神将と四天王。
中でも個人的に注目するのは維摩居士(ゆいまこじ)像。
維摩さんという方は、維摩経に出てくる在家者(出家していない仏教徒)です。
在家者でありながら、仏教を極めており、弁舌に長けるお方。
私の勝手なイメージだと「ズバッと矛盾をついてくる賢者」といったところでしょうか。
維摩さんが病を患ったとき、お釈迦さんが弟子たちにお見舞いに行くよう言うのですが、誰も行きたがらない(皆、維摩さんにやり込められた経験があるので)。
そこで文殊菩薩さんが行くことになります。
維摩さんのお宅で二人が問答するシーンが有名です。
東金堂には、この役者二名がそろっているのです(しかも国宝)。
若者らしくつるりとしたお顔の文殊さんと、熟成し皺の刻まれたお顔の維摩さん。
維摩さんは、眉間にしわを寄せ、少々厳しい表情をされています。
いざ維摩さんの前に立ってみると、なんか怒られそう…。
釈迦の弟子たちがお見舞いに行きたがらなかったのもなんとなくわかる気がする(笑)。
ということはつまり、維摩経のワンシーンをうまく再現しているということですから、この維摩さんの像を作った仏師の方の腕もすごいなあ、と思うのです。
維摩経について詳しく知りたい方はこちらが読みやすいです。
100分de名著 『維摩経』 2017年6月 | NHK出版
東金堂にいると、妙に心が落ち着いて、一日の疲れが吹き飛びました。
維摩さんだけでなく、他の仏像も必見です。
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