仏像、ときどきアート

仏像、ときどきアート (旧)

仏像、観光、美術展など、見たこと感じたことの記録

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【上野】快慶・定慶のみほとけ② - 元は人食い鬼、筋肉ムキムキの「羅刹(らせつ)」が憎めない

快慶・定慶のみほとけ①の記事では
・行快作の釈迦如来坐像
・快慶作の十大弟子
について感想を書きました。

本記事は、上記以外の仏像の感想です。
購入したグッズも紹介します。

 

 

仏像の感想

千手観音立像

会場に入って最初に出迎えてくれたのが千手観音。
造られたのは大報恩寺の創建よりも古いようなのですが、いつ頃安置されたかは不明だそうです(作者も不明)。
手は42本、十一面でした。
翻波式衣文(ほんぱしきえもん)が特徴的。

なお、翻波式衣文とは

平安時代前期の木彫衣文 (衣の) を,丸い波と角の波を交互に彫ってさざなみが立ったように表現する方法。奈良時代末期の木彫にもみられるが,平安時代前期に多用された。
(ブリタニカ国際大百科事典 小項目辞典の解説より)


簡単にまとめると、丸い波と角の波を交互に彫って衣のひだを表現している、ということですね。

翻波式衣文についてよく知らなかったので、確認しそびれました…。再訪できたら観てみよう。

 

傅大士(ふだいし)坐像および二童子(にどうじ)立像

こちらは大報恩寺近くにあった北野経王堂(きたのきょうおうどう、現在は廃絶)から伝わった彫像。
作者は院隆さんという仏師で、室町時代のものです。

写真はトーハクのHPに記載のものをご覧ください。

東京国立博物館 - 展示 日本の考古・特別展(平成館) 特別展「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」


傅大士さんという方は輪蔵(中心に柱が立っていて、回転する構造物。一周まわすと、お経を一回唱えたことになる)を初めて作った人。

両脇の童子は傅大士さんの子ども(普成・普建)。
この二童子の表情がいい。
ニカッと(ニコッとではなく、ニカッと)笑っていて、見ているとなんだか元気がでてきました。
普建のほうは保存状態が良く、着物の柄も結構はっきり見えました。

 

誕生釈迦仏立像

片手を天に、もう片手を地に向けるポーズをしています。
鋳造の原型を作ったのが行快さんである可能性が高いそうです。
小さいせいでしょうか、行快さんの作風が出ているかというと、あまりよくわからなかった、というのが正直なところです(見る目が養われていないだけかも)。

写真は公式ツイッターに掲載されています。

おかめちゃん@快慶・定慶展【公式】 (@kaikeijokei2018) | Twitter

 

天王および羅刹立像

まず、羅刹(らせつ)とは?

もとは、人を食らう悪い鬼。
のちに仏教に入り、仏の守護神となったそうです(十二天のうちの羅刹天)。

この羅刹なるものが、天王とともに五軀、ガラスケース内に展示されていました。
一体一体は、両手の平に乗るくらいの小さめサイズです。

説明パネルによれば、「説法の聴衆として集まった天部や六道の夜叉として造られたものかもしれない」とのこと。
作者は不明ですが、慶派仏師の作品である可能性が高いそうです


さて、羅刹の外見ですが、鬼というよりは「モンスター」。

五軀いるうち、「羅刹その三」がおすすめ。
「その三」のお顔は、豚とバッファローを足して二で割ったような感じで、愛嬌があります。
また羅刹は、大力で俊足ということなので、ムキムキ・ムチムチの足をしています。
ふんどしスタイルでお尻も丸見えですが、筋肉がすごい。
まるで取組中のお相撲さんのお尻。
お相撲さんよりもさらに引き締まっているかも。
この筋肉足&尻で追いかけられたらたまったものではありません。
心を入れ替えてくれてよかった。


六観音

六観音
聖観音観音の基本
②千手観音:無限の慈悲者
馬頭観音諸悪粉砕怒りの観音
④十一面観音:11の顔をもつ救済者
⑤准低観音:子を授けてくれる
如意輪観音願いをかなえる仏
の総称。
(⑤の准低観音のかわりに不空羂索観音が入ることもあります。)
青字は『仏像の見方ハンドブック』より引用)

六観音は六道(地獄道、餓鬼道…)から人々を救う仏です。
平安時代以降に大流行したのだとか。

こちらの六観音は定慶(肥後定慶)さんの作品。
准低観音の像内に定慶さん自筆の銘があるそうです。

ここで定慶さんのことを少々。
定慶さんは、運慶さんの弟子です。
運慶さんの弟子には湛慶さんがいますが、湛慶さんは運慶さんの実の息子。
その湛慶さんより10歳ほど若い弟子が定慶さん。
(運慶さん次男の康運さんが定慶に改名したという説もあるらしいです。ウィキペディアより)
相当な力量があったそうです。
作風にはやはり運慶さんの影響があるとのこと。

ちなみに、定慶という名の仏師は鎌倉時代前期には四人もいたのだとか(展示パネルより)。
区別するために、この六観音をつくった定慶さんは、肥後定慶などと呼ばれたりしています。

聖観音の写真

六観音のうち、聖観音のみ、撮影OKでした(フラッシュはNG)。
他の五軀も同じフロアにありますが、撮影できませんのでご注意ください。

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聖観音菩薩立像


奥の壁に映る光背の模様が美しいですね。
ちなみにこの光背、会期後半には取り外され、観音像の後姿を観られるそうです。


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聖観音菩薩

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聖観音菩薩 横から

私にしては上手に撮れてしまった、と一瞬うぬぼれたのですが、照明がいい塩梅で当たっているので、シャッターさえ押せばこんな感じになります(一般的なデジカメ使用です)。

聖観音の二の腕の質感、リアルですね。
つるつるで、少しふっくらしています。
衣のたなびき方も繊細。


六観音のうち、馬頭観音以外は顔がよく似ていました(馬頭観音だけ憤怒相なので)。
とりわけ准低観音と如意輪観音の顔はそっくりだったような。

とても神秘的な空間でした。



グッズ

開催初期でしたので、ゆっくり見て回れました。

大報恩寺はおかめ発祥の地といわれているそうで、おかめグッズが充実していました。
てぬぐいは白地にミントグリーンとピンクのおかめさんがプリントされていて、かわいかったです。
おかめさん柄のペンタイプの塗香も興味深い。

定番のクリアファイルも、写真が素敵なのでやっぱり欲しくなってしまいます。

あと、京都の豆菓子が充実していましたね。
パッケージがあまりにもかわいくて、それだけで買ってしまいそうでした。


しかし、私はもう、購入するものを心に決めていたのです。
プレスリリースされたときから決めていたのです。

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十大弟子 徳目ピアス

フェリシモさんとのコラボグッズ、十大弟子の徳目ピアス(イヤリングもあります)です。
キャッチコピーは「耳元に十の教え」。

oterabu.felissimo.co.jp


十大弟子の徳目(得意分野)にちなんでデザインされたアクセサリー。
とはいっても、写真からお分かりのように、奇抜でもなく、使いやすいデザインです。
一応、梵字(?)的な文字が小さく彫られています。

十種類あるので迷ったのですが、舎利弗さんの「智恵第一」ピアスにしました。

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ピアスの台紙 裏面


舎利弗さんにあやかって頭脳明晰に!というよりは(もちろん頭脳明晰に越したことはないですが)、知恵ジェム(ジェムは宝石の意)なるパーツが、どことなく栗っぽくてかわいかったのでこれに決めました。

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徳目ピアス 横から

取り外し可能な「未敷蓮華パーツ」もついています。
このパーツにはこんな願いが込められているそう。

未敷蓮華とは、まだ咲かない蕾のままの蓮花のこと。仏教では如来まで至っていない観音さまが持つことが多いアイテムです。これは仏の心をもっているが、まだ開花していない人の心を表しているとも。 自分が目指したい徳目を選んで耳につけていただくとき、どうぞこの「未敷蓮華パーツ」も一緒に付けていただき、心に蓮の花が咲くことを目指していただければ幸いです。
フェリシモおてらぶブログより引用)


心に蓮の花が咲くことを目指そう、というわけ。
動くたびに揺れる未敷蓮華に触れれば、気持ちが引き締まりそうです。


おわりに

二記事にわたって快慶・定慶展の感想を記しました。


今回の展示で個人的に良かった仏像は

1位 快慶作 十大弟子より 目楗連(もくけんれん)&富楼那(ふるな)
2位 行快作 釈迦如来坐像
3位 羅刹その三

ですかねー(選ぶのが難しい)。


展示にまつわる記憶を辿ったり、自分で撮影した聖観音の写真を見ていたら、また行きたくなってきました。


【上野】快慶・定慶のみほとけ① - 快慶作の目楗連(もくけんれん)が秀逸すぎた

大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ

東京国立博物館にて開催中(2018年10月2日~12月9日)の特別展「京都 大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」の観賞記録です。


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パンフレット

会場は東京国立博物館の平成館。

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トーハク 平成館

 

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平成館 入口

平成館内の別の展示室でデュシャン展も開催中。

 

大報恩寺について

京都市上京区にあるお寺。通称「千本釈迦堂」。

創建:鎌倉時代初期
本尊:釈迦如来坐像

源氏と平氏の内乱、大規模災害、東大寺の大仏が焼け崩れてしまうなど、大変なことが続き、仏法が破滅しつつあった12世紀末。
これではいかん、釈迦の教えに立ち返ろう!と天台僧の義空さんが、法華経(釈迦は永久にこの世に存在し、法を説く)に基づいて大報恩寺を創建したそうです(1220年)。
(トーハクHPを参考にまとめました)

 


仏像の感想

全ての仏像について書いていたら、記事が長くなりすぎてしまったので、まずは釈迦如来坐像と十大弟子について書きます。

普段の大報恩寺では、釈迦如来は本堂に、十大弟子は霊宝殿に、と別々に安置されているそうなのですが、昔は両者とも本堂にいらしたそうです。
今回の特別展では、釈迦&十大弟子が同じ展示室内で、昔の本堂を考慮した配置になっています。

開催初期でしたが、大物が集結しているので、けっこう混雑していました。

釈迦如来坐像

パンフレット(背景が赤いほう)に載っているお方です。
大報恩寺秘仏(!)本尊です。

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釈迦如来坐像(顔部) パンフレットより


作者は行快さん(快慶さんの弟子)。

行快さんは、若い頃は快慶さんの作風にならっていたそうですが、快慶さんの没後に個性を発揮し始めたとのこと(説明パネルより)。
師匠から基礎をきっちりと学び、その上で個性を出す、まさにものづくりのお手本のような姿勢です。真面目な方だったのかもしれませんね。

釈迦如来は、パンフレットで見る以上に、お肌がつやつやスベスベ(※見た目の質感です。触ってはいけませんよ)。
この、つやつやスベスベ具合は快慶さんの作風を踏襲しているなぁ、と思います(昨年、奈良国立博物館にて行われた「快慶展」に行ったのですが、そのときも仏像たちのお肌が美しくて驚きました)。

一方、丸みのあるお顔や目じりが上がった目の形は、行快さんの特徴らしいです。
パンフレットだと目つきが鋭いようにも感じるのですが、仏像の前に立って目線を合わせると、いい塩梅といいますか、見守られているような印象に変化しました。

秘仏だからなのか、お顔の金箔が完全に残っていて(貼り直しているのかも)、本当に神々しかったです。


十大弟子立像

十大弟子とはお釈迦様の弟子のなかで、とりわけ優れた人物10名。
「すごい弟子10傑」というわけですね。

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出品目録より 


私が最初に十大弟子の仏像を観たのは、興福寺の国宝館だったと思います(乾漆造のもの)。
その頃は今ほど仏像に詳しくなかったので、「十大弟子? 昔の偉いお坊さん的な? ふーん」という感想でした。

そのときのイメージが強かったので、今回も「十大弟子か、ふーん」となるかと思っていました(HPなどで写真を見ている限りでは、あんまりピンとこなかったし)。が……実物を観たら一気に十大弟子のファンに!

以前よりも仏像に関する知識が増えたという背景も影響しているとは思いますが、快慶チームの仕事ぶりが本当に素晴らしい。
おそらく、十軀すべてを快慶さんがフルに造ったのではなく、弟子がある程度形にして、快慶さんが手を加えたり、アドバイスしたり、という感じだろうと思いますが、どの像も素晴らしかった。

観た順に感想を記します。

目楗連(もくけんれん)

最初に観たのが目楗連の彫像。
神通力が使えたお方らしいです。

目楗連については、快慶さんのサインが入っているので、快慶さんがメインで担当したのではないか、とのこと(パネル説明より)。

一瞬で「巧っ!!!」と度胆を抜かれました(天才仏師の一人ですから当然なのですが)。
像高は(感覚的には)1メートルくらい(?)で、小柄なのですが、細部まで完璧で、ずっと見ていられます。

遠くを見通すような視線の力強さが印象的。
この目力なら神通力もありえる、と思ってしまう。
腕の血管もリアルに浮き出ているし、衣も布かと思うほどたなびいているし、痩せた胸の感じとか、少し御年を召した猫背の感じとか、本当に素晴らしかったです。

舎利弗(しゃりほつ)

続いて舎利弗さん。頭脳明晰なお方だったそうです。
それを物語っているのでしょうか、頭(額から上)が大きめ(脳がたっぷり詰まっていそう)。

舎利弗さんを観ながら、とある知人に似ているなーなんてのんきに思ったのですが、そういえばその知人も、ものすごく頭の良い人でした。
表情には、性格や経験などいろんなものが出ますから、頭がいいと顔つきが似ることもあるのかもしれない、なんてことを思いました。

背中側に回ってみると、肌の質感と衣の質感が違うことに気づきます。
衣の方に細い溝を入れているのか、木目をうまく利用しているのか、仄暗い空間内では素人には判別できませんでしたが(おそらくは木目を生かしているのではないかと思う)、いずれにしても技術力の高さに唸ったのでした。


大迦葉(だいかしょう)

清貧を貫いた方だそうです。

顔の彫りが深く、目が奥まっています(もともとお釈迦さまも十大弟子もインド人なので、よく考えれば当然ですが)。
八重歯ぎみなせいか、悪魔めいた印象を最初は受けたのですが、何度か巡回しているうちに親しみやすそうな気もしてきました。
凹んでいるときなどに「おう、元気か!」と言ってくれそう(※勝手な妄想)。

 

迦旋延(かせんえん)

理論家で、問答が得意だったそうです。

目楗連さん、舎利弗さんのお二方に比べると、少し顔のつやが失われているような印象。
目は二重で、すこし眠そうというか、とろんとした印象を受けたのですが、少し離れてみると、照明の光が玉眼に反射してキラッと光り、只者ではない感がにじみ出ていました。

 

羅ご羅(らごら)

(らごらの「ご」にあたる漢字がなかったのでひらがなにしています)
お釈迦さまの実の息子さんです。
綿密に、隅々まで精進した方らしいです。

歯並びが大変きれいだったのが印象的。
全体的に若い感じを受けました。

阿那律(あなりつ)

説法中に居眠りをしてしまい、反省し、不眠不休で修行したところ、失明してしまったというお方。しかしその失明により、心の眼を得たのだとか。

つるりとしたお顔で、地蔵菩薩っぽい雰囲気です。
目の縦幅が左右で微妙に違うように見えたのですが、失明したことと関係しているのでしょうか。
左手の手首を右手で掴み、まるで脈をとっているかのようなポージング。
心の眼で何かを感じている様子なのでしょうね。

 

優波離(うぱり)

戒律を守ることを重視したお方だそうです。

エラが張って、あごもがっしり、頬骨も高いタイプのお顔。
かといって、威圧感はなく、前向きな表情。

快慶チームの仏像はいずれも衣の質感が美しいのですが、優波離さんの衣は特にその傾向が顕著だったように思います。
「実は木でなくて布なのではあるまいか?」と何度も疑ってしまいます。

これも勝手な想像ですが、快慶チームの中にも「衣を彫るのが得意な弟子」「顔を彫るのが得意な弟子」「つるつるに仕上げるのが得意な弟子」「ノミを使うのが得意な弟子」……といろんなタイプがいたのかもしれないなー、と思ったりします。
その弟子の得意なところが像を通して具現化しているのかも(もちろん快慶さんも手を加えているでしょうが)。
快慶チームにますます興味が沸いてきますね。

 

富楼那(ふるな)

富楼那さんは説法が得意だったお方。

アゴががっしりした四角い感じの輪郭。
他のメンバーは、おおかた正面を向いているのですが、富楼那さんだけは視線を斜めに「キッ」と向けています。
眉間に皺を寄せているようにも見えるし、一筋縄ではいかない感じが漂います。
誰でも説得してみせる、という姿勢だったそうなので、意思の強さが現れているのかも。
とはいえ、なんだか憎めない。
優しいのだけれども、それを奥のほうにグッと押し込み、あえて厳しくしているような雰囲気を感じました。

個人的には十大弟子のなかで一番のお気に入りです。

 

須菩提(すぼだい)


何事にも執着しない、がモットーだったお方だそうです。

目が細めで、歯がギラーンとしているのですが、怖い感じはしないです。
顔のタイプ的には大迦葉さんに似ているような。

勝手な印象なのですが、しわがれた声をしていそうです。


阿難陀(あなんだ)

お釈迦様の話を一番多く聞いた方だったそう(お世話係もしていたそうです)。
美男子だったので、阿難陀目当てにやってくる女性信者も多かったのだとか。

その美男子ぶり、彫像にもキッチリ反映されていました。
目がキリッとしていて、鼻がスッと高い。

真正面よりも、阿難陀さんに対してやや右側に立つと、パチッと目が合って「これは女性信者たちが心を掴まれるのもわかる」と思ったのでした。

写真で見る限りは、他のメンバーとそこまで違うようにも見えなかったのですが、実物は確かにイケメンでした。

 

おわりに

十大弟子について長々と述べてしまいましたが、それほど素晴らしかった、ということです。

今回の特別展で十大弟子を観るまでは、誰が誰やらさっぱりだったのですが、実物を観たら、一気に興味がわきました。

このように、仏像は、仏教に興味を持たせる役割も担ってきたのだろうと、実感した次第です。

やっぱり慶派の仏像はいいなあ、と再認識したのでした。



他の仏像の感想や、購入したグッズは別記事にまとめました。

 

 



《獅子コレ》その1 ―乃木神社の獅子と狛犬―

獅子コレ(獅子コレクション)について

お寺や神社を巡っていると、しばしば目にするのが獅子と狛犬

一般的には
・向かって右、口を開いている(阿形)ほうが獅子
・向かって左、口を閉じている(吽形)ほうが狛犬

となっていますが、近年では獅子と狛犬合わせて「狛犬」と呼ぶことが多いようです。
※本ブログでは阿形を獅子、吽形を狛犬と区別しています。

中国から伝わってきたときは左右両方とも獅子だったらしいのですが、平安時代になって、獅子&狛犬のコンビになったそうです(wikipedia参照)。

また、獅子は文殊菩薩を背上に乗せていることもありますね(仏像の台座)。


私、なぜかこの獅子(+狛犬)と呼ばれる存在に魅かれてしまいます。

獅子の元をたどればライオン、魔除け的役割。
「がおー」という感じで威嚇しているのでしょうが、それがどことなく憎めない表情に見えてしまう。
ライオンというよりは、犬の方に近くて、愛嬌があるというか。
なんだかかわいらしいのです、結局。
そういうわけで、つい獅子・狛犬の写真を撮ってしまう。

いつか「お気に入りの獅子ベスト10」的な記事を書きたいなと思ったので、まずは獅子の写真をアップしていくことにしました(データベース的に)。

狛犬は獅子から派生していますし、仏像の台座としての獅子も好きなので、タイトルを「獅子コレクション」としました。

獅子に興味のない方には極めて退屈だと思いますが…(汗)。

 

乃木神社の獅子と狛犬

特に乃木神社に思い入れがあるわけでもないのですが、たまたま最近立ち寄ったのでその写真を。

まずは鳥居。

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乃木神社 鳥居

この鳥居の左右にいるのがこちらの獅子&狛犬
写真の撮り方がバラバラで見づらいですが、コンビです。

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左:狛犬(吽形) 右:獅子(阿形)



鳥居をくぐると、もう一対いました。
(写真の大きさがチグハグ…今後練習します)

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左:狛犬(吽形) 右:獅子(阿形)


鳥居の横にいた獅子&狛犬よりも、シンプルな感じがします。
たてがみが比較的ストレートですね。
ボブヘアというよりは、おかっぱ、かな。



以上、乃木神社にいる獅子と狛犬でした。
ずいぶんアッサリした記事になってしまいましたが…今後、詳しくなっていく予定です。

【東京】醍醐寺展 ー聖宝坐像(醍醐寺を開いたお坊さんの彫像)とアイコンタクト・目玉むきだしの五大明王像に励まされる

サントリー美術館東京ミッドタウンガレリア3階)にて開催中(2018年9/19~11/11)の「京都・醍醐寺 真言密教の宇宙」展、観てきました。
仏像の感想がメインです。


入口は以下のような感じで、わりとオープンな雰囲気。

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サントリー美術館 入口

この写真だとかなりすいているように見えますが、開催初期にしては意外と混んでいるな、というのが正直な感想でした。とはいえ、ストレスになるほどではなく、快適に観賞できました。

京都・醍醐寺について

醍醐寺について、パンフレットにある説明書きをまとめると

・874年 聖宝(しょうほう、空海の弟子)によって開かれた
真言宗醍醐派の総本山
真言密教のうちでも加持祈祷や修法(すほう:儀式のこと)などを重視する寺

とのこと。


空海さんが日本に持ち帰った真言密教
その教えは奥が深いので、図画を用いて説明していた→仏像や仏画が重視されたそう。

だから、(空海さんの直系弟子の聖宝さんが開いた)醍醐寺にはたくさんの仏像仏画文書が伝わっている、というわけですね。

観賞した仏像

 

如意輪観音坐像

会場に入ってすぐに迎えてくれるのが「如意輪観音坐像」。
パンフレットやポスターを飾っている方です。

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入口の看板 如意輪観音坐像

如意輪観音といったら、頬杖をついて考えているお姿が特徴的。
思索のテーマは「どうしたら人々を救えるか」。

像高はあまり高くなく、ガラスのケース内にいらっしゃいました。
前後左右、どの方向からも拝見できます。

暗い会場内で照明の光を浴びる姿は神秘的でした。


聖宝坐像

次に見たのは、醍醐寺を開いたお坊さん、聖宝さんの像。

高僧(偉いお坊さん)の像って、意外とよく見かけますよね。
十大弟子なんかは有名ですし。
ただ、他の仏像(観音像とか)に比べるとやはり地味なので、これまでは「ふーん」という感じで観ていました。

しかし、この聖宝さんの像は、すごく良かったです。
というか、今回の醍醐寺展の展示で、個人的には一番印象が強かったかも。

まず、表情が柔和で親しみやすい。
眉毛が下がっていて癒し系ですが、目は芯のある感じ。

正面に立って聖宝さんと目線を合わせると、今にも喋り出すのではないか、と思うほど、顔が生きているような感じがするのです。

作者は吉野右京種久さんという江戸時代の仏師。
江戸時代ということは、聖宝さんはとっくに亡くなっていますから、肖像画とか文書を参考に造られたのだろうと思います。
それでこんなに生きているような感じを出せるのはすごいなー、と思ったのでした。

ぜひ、正面に立って、目を合わせてみてください。
写真は公式HPでご覧になれます。

展覧会の構成|京都・醍醐寺展 真言密教の宇宙 公式サイト|2018年9月19日(水)〜11月11日(日)サントリー美術館|2019年1月29日(火)|3月24日(日)




虚空蔵菩薩立像

まず、虚空蔵菩薩とは?

日本には、奈良時代の8世紀に伝えられ、虚空蔵菩薩を念じて記憶力を得るという「求問持法」の本尊として信仰を集めました。
仏像の見方ハンドブック p.60 

 

簡単に言うなら「求問持法の本尊」でしょうか。
虚空のようなものすごい知恵と慈悲をお持ちなのだそう。
たしか、空海さんもこの「求問持法」によって神秘体験をしたのだとか。

醍醐寺に伝わる虚空蔵菩薩立像は、なんと国宝。
像高はおそらく50センチ程度と小ぶりです。
指先が少し欠損してしまっていましたが、全体的にとてもきれい(1000年以上経過しているように思えない)でした。

ずっと聖観音だと思われてきたのだそうですが、近年の調査で虚空蔵菩薩だと判明したらしいです。

 

(参考)
この虚空菩薩を五つに開いて五体セットで祀っているのが「五大虚空蔵菩薩」らしいです。
たとえば東寺の観智院に安置されているものなどが該当するでしょうか。

 

 

 

帝釈天騎象像と閻魔天騎牛像

帝釈天騎象像はその名の通り、帝釈天が象に乗っています。
けっこう大きくて迫力がありますし、象もいい味出してました。

一方で、「閻魔天騎牛像」とな?
仏像はけっこう観てきたつもりだけど、聞いたことがない。
というわけで、少し調べてみました。

閻魔と聞くと、地獄でおなじみの閻魔大王(閻魔様)をまず思い浮かべますよね。
この閻魔大王、もともとは各方位を守護する「十二天」の一尊の閻魔天だったようです。
閻魔天が中国の道教と結びつき、後に閻魔大王となったらしいです。

真言密教での閻魔天閻魔天供という修法(除病・息災・延寿・産生を祈願する大がかりな儀式)の本尊という位置づけらしいです(wikipedia参照)。

閻魔天は通常、曼荼羅に描かれている(つまりは仏画)のですが、醍醐寺展では立体の仏像が観られます。閻魔天の彫像としては唯一のもののようです(醍醐寺展説明パネルより)!


五大明王

密教といえば五大明王は外せません。

明王は、普通の教えでは救えない人々(悪人)を救うために、厳しくて怖い姿をしています。
悪い事をしたら厳しく、しかし愛をもって怒ってくれる先生、みたいな感じでしょうか。

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五大明王像 パンフレットを撮影


中央に不動明王、向かって右手に降三世明王、右端に金剛夜叉明王、向かって左手に軍荼利明王、左端が大威徳明王という配置になっていました。

特徴的だったのは、みなさん目玉が飛び出ているところ。
明王といえば、目をカッと見開いているのが定番ではありますが、こちらの五大明王は目を見開くどころか、目玉を飛び出させていました。
すごい迫力です。

異形ではあるのですが、なんとなく励まされるような気がしてくるから不思議。

五大明王について

(参考文献:仏像の見方ハンドブック)。

金剛夜叉明王は金剛杵(こんごうしょ)という密教の法具を持っているのですが、この金剛杵で様々な悪を打ち砕くんだそうです。

・軍荼利(ぐんだり)とはサンスクリット語で「とぐろを巻くもの」の意。
手首などに蛇を巻きつけているのがよく見えました。
「なんで蛇?」と思ったのですが、「とぐろを巻くもの」からきているのですね。
さまざまな障害を取り除いてくれるそうです。

大威徳明王は水牛にまたがっています。
顔も六面、手は六本、脚も六本!
悪を降伏する仏ですが、戦勝祈願の本尊ともされるようです。

降三世明王についてはこちらの記事内で簡単にまとめています。

 

快慶作の不動明王坐像

先述した五大明王不動明王とは別に、快慶作の不動明王も観ることができました。
くっと斜めの方を睨んでいる不動明王です。
(運慶もそうですが)快慶の作品はやはり目が素晴らしいですね。
虹彩の部分の赤が美しい。瞳孔(黒目)とのバランスも絶妙です。
もちろん目だけでなく、全体的に丁寧というか、何一つ文句のつけようがないのですが。

薬師如来坐像

展示室の階段を下り始めると、薬師如来および両脇侍象の姿が視界に入ります。
薬師如来を見ながら階段を下りるなんて、非日常的でよかったです(※薬師如来に見とれて階段をふみ外さないように気をつけましょう)。

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薬師三尊 パンフレットを撮影したもの



薬師如来は、台座を含めると3メートル超。
肩も胸もがっしりしています。

背景のロールカーテンの緑色と薬師如来・両脇侍象の体色がマッチしていて、おしゃれな空間に仕上がっていました。

お寺のお堂で拝観するのは雰囲気があっていいですが、美術館ではまた違った雰囲気が楽しめていいですよね。


グッズ

まだHPにグッズがアップされていない(9/20時点)ようなので、簡単に書いておきます。正式な商品名や値段などは後日公式HPにてご確認ください。

仏像観賞用の測量野帳

測量野帳は、表紙がやけに堅いメモ帳です(屋外などで使いやすい)。

ますます用途が広がる測量野帳|商品情報|コクヨ ステーショナリー

こちらのメモ帳の仏像バージョンがありました(といっても、表紙に仏像大使のお二人の似顔絵?が印刷されているだけで、中身は普通の測量野帳です)。

 

不動明王が映し出されるLEDライト

ボタンを押してライトを壁などに向けると、不動明王が映し出されるもの。
人気なのか、はたまた鋭意生産中なのか、売り場にはあと二つしかありませんでした。

スマホケース

一番欲しいなと思ったのはスマホケース。手帳みたいに開くタイプのもの。
如意輪観音像がプリントされていて、ネイビー×ベージュ?(記憶が少々曖昧なので、あくまでご参考程度とお考えください)の色合いもかわいかったです。たしか2300円。

私は荷物を少なくしたい派の人間で、手帳タイプのスマホケースは使用しないので、後ろ髪を引かれつつも諦めましたが…。

その他

定番のクリアファイル、チケットファイル、ポストカードなどもありました。
五大明王のシルエットがプリントされたTシャツとか、仏像がプリントされたトートバッグ、紅茶などもかわいかったです。

 

 

おわりに

仏像メインで感想をまとめましたが、他の展示物も興味深かったです。
仏画や書物も多いですし、俵屋宗達の屏風なんかもありました。

全体的に、多すぎず、少なすぎず、ちょうどよいサイズ感の美術展だと思いました。
仕事帰りなどにふらっと立ち寄るのにもいいと思います。

個人的に一番良かったのはやはり聖宝坐像でしょうか。
とはいえ、さすがにマニアックだと思うので、人に「見て!」とおすすめするなら五大明王像か薬師如来かなと思います。

【長野】善光寺⑤ ー大勧進・大本願のみどころ 月方那比古の彫刻など

大本願大勧進って?

善光寺の境内には善光寺大勧進というお寺と善光寺大本願という尼寺があります。
善光寺は特定の宗派を持たないお寺ですが、この大勧進天台宗)と大本願(浄土宗)によって、管理運営されています。


大本願でみたもの

大本願は駒返り橋より南側にあるお寺。

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お地蔵さん

お地蔵さんのボディには「念ずれば花ひらく」と彫ってあります。
お顔がかわいらしい。

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ひとにぎり地蔵

こちらが大本願名物(?)のひとにぎり地蔵。
まさに手のひらサイズのお守りも売っていました(ネットでも注文できるようです)。
不安なときなどに握るとすごく安心しそう。

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善光寺如来奉遷像 月方那比古 作

大本願の宝物殿入口でお見かけしました(宝物殿には入らず)。
本田善光さんが、善光寺如来を背負って我が家に帰る姿の彫刻です。
月方那比古さんという方の作品。
高さ3 m 60 cmありますので、なかなかの迫力でした。

昔、信濃の国に本田善光(ホンダヨシミツ)という人がありました。
ある時、国司に伴って都に参った折、たまたまこの難波の堀江にさしかかると「善光や、善光や」と声が聞こえてきました。
何事かと思っているうちに、背中に飛び乗った者がありました。
「私は一光三尊の阿弥陀如来です。悩める人々を救うため日本へ渡り、あなたが来るのをじっと待っていました。あなたの故郷の信濃の国へ背負っていってほしい」と、おっしゃいました。
善光は歓喜して礼拝し、如来様を背負って信濃の我が家(麻積郷(現飯田市))に帰りました。
 善光は初め如来様を西のひさしの臼の上に御安置し、やがてお堂を建てて如来様をお移しいたしました。
 善光のお宅が寺になったことから善光寺とお呼びしております。

(彫刻の足元にあった説明書きより)



善光寺縁起のワンシーンが彫刻になっているわけですね。

この縁起を読むといつも思うのが、「一光三尊如来像は本当に存在するのかなぁ」ということ(あくまで個人の感想です)。
というのも、善光寺の御本尊は絶対秘仏で、(現在生きている人では)誰も見たことがないのです。つまり、存在を確認した人がいない。

もし、本田善光さんが話をつくるのが上手い方だったとしたら、現物がなくても「一光三尊如来を背負ってきた」ということにして空っぽのお寺をつくり…それが今も続いている、という想像もできなくはない。
ですが、さすがにお寺を作る際などに「仏像見せてくれ」となるはずなので、当時は現物はあったのでしょうね。七年に一度公開されるという模鋳もありますし。

もしも現在、ご本尊が消失しているとしたら、幾度かの火災で焼けてしまった、というのがもっとも可能性は高いのかな、と。
ただ、さらしで巻かれた厨子は五人がかりでも持てないくらい重い(=ご本尊の重み)とのことで、本尊の存在を示唆する話も(しかしそうだとしたら本田善光さんはどうやって背負って帰ってきたのか……ということはさらしが重いだけ? いやいや、理屈で考えたらダメですかね、仏様ですから)。

ともあれ、こういった縁起の類の話には想像をかき立てられます。
どことなくファンタジックで好きです。

 

大勧進でみたもの

大勧進は駒返り橋よりも北側にある(善光寺本堂に近いほうの)お寺。

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不動明王の剣と矜羯羅童子(こんがらどうじ)と制多迦童子(せいたかどうじ)
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童子

巨大な剣はインパクト大ですね。
セイタカ&コンガラもなかなか良い表情。

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地蔵八角円堂

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水子観音

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護摩


おわりに

大本願大勧進とも宝物館がありますので、本格的に観たら結構時間がかかりそうです。
私が一番記憶に残ったのは月方那比古さんの彫刻と、不動明王の巨大な剣、でした。


盛り沢山だった善光寺の記事もこれにて終了。

善光寺全体(参道含む)を通して個人的に良かったランキング

1位 お戒壇めぐり
2位 びんずる尊者
3位 参道にある西光寺の獅子

といったところでしょうか。

 

 

 

【長野】善光寺④ 忠霊殿・善光寺史料館ほか - 史料館では五百羅漢像を観るべし

 

善光寺本堂を堪能した後は、境内の北西にある、忠霊殿・善光寺資料館へ向かいます。

 


 

日本忠霊殿・善光寺資料館

忠霊殿では戦争で亡くなった240万の魂を祀っているそうです。

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忠霊殿・資料館

忠霊殿には善光寺資料館が併設されています。
こちらも共通券で入館可能。

ちょうど特別展的な催しをやっていて、巨大な木魚や巨大な仏画が迎えてくれました。

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巨大な木魚

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巨大な仏画

こちらの仏画、474cm×288cmという大きさ。
近くでよく見ると、仏様の腕や胸に毛が生えて(描かれて)いました。
毛深い仏って、珍しいですね。


史料館の展示物

さらっと観ていかれる方が多いようですが、仏像好きにはなかなか楽しめるスポット。


特に記憶に残っているのは五百羅漢像(江戸時代)。
正確な数は忘れてしまったのですが、かなりの数いらっしゃいます。
素人が作っているらしく、決して上手いわけではないのですが、味があってよかったです。
一体一体、表情やら姿勢やら、いろいろ違う。
目の前の像から、作った人の性格とかが立ち上がってくるような感じ。
この像を作った人は穏やかな人かな、ちょっとせっかちかな、とか想像するのが好きです。
それにしても、作る人によって、全く違うものができるんだよなぁ、と実感。


それから、高村光雲作の仏像(仁王像の原型)もあります。
壁かけ形式(?)の仏像なんかも良かったです。

じっくり観ていたら、入口にいらした係の方に「あれ、けっこう観てる?」と声をかけられました。
おそらく私ほど長居した人は珍しいのかも。
善光寺に関連する夢を見て感動した人が納めた江戸時代の絵なども、ストーリーがあっておもしろいのですが…。



その他

善光寺境内にあるその他のものをざっくり紹介します。

善子さん、光子さん像

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善子さんと光子さん

「牛にひかれて善光寺詣り」にちなんででしょうか、森永乳業さんが寄贈したらしいです。ほっこりしますね。

迷子郵便供養塔

迷子郵便!?
そのネーミングから物語性とかファンタジー的要素を感じ取ってしまったので、見に行ってみたのですが…。

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迷子郵便供養塔

な、なるほど。
そうですよね、供養塔ですもんね。
勝手に独創的なモノを想像してしまったので、肩透かしをくらいました(反省)。

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迷子郵便供養塔 縁起

配達することも返送することもできない郵便のための碑。
配達も返送もできないって、切ないですね。まさに迷子郵便。
年間180万通もあるそうです。
迷子郵便の内訳はどうなっているのだろう、と気になってしまったのでした。


 

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善光寺の他の記事

 

 

【長野】善光寺③ 本堂内々陣 ー漆黒の暗闇で「極楽の錠前」を探り当てるお戒壇めぐり

 本堂外陣にて、びんずる尊者に会った後は、内陣・内々陣へ。


内陣・内々陣に入るには、拝観券が必要です。
(発券機が本堂の中にもあります)

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本堂の見取り図 パンフレットより

 

内陣

内陣にて、ご本尊とご開山(御三卿:本田善光さんとその奥さんと息子さん)に手を合わせました。
ご本尊は絶対秘仏なのでお姿をみることはできません。
ご開山も(私の視力がいまいちなせいかもしれませんが)厨子がかかっていてよく見えなかったような。
ちなみにお焼香する際、誤って灰のほうを掴みとってしまい、あやうく火傷をするところでした(反省)。


内々陣のお戒壇めぐり

戒壇めぐりとは?

戒壇めぐりは、御本尊の安置される瑠璃壇下の真っ暗な回廊を通り、中ほどに懸かる極楽の錠前を探り当てて、秘仏の御本尊と結縁する道場です。
善光寺 ご参拝のしおり より)

極楽の錠前、名前からしてご利益がありそうですね。
これはぜひ触っておこう。
(以下、感想となります。まだ行かれたことがない方は、予備知識がないほうが楽しめるような気がするので、読まれない方がいいかもしれません)


戒壇めぐり入口の階段を下りると、真っ暗な通路が伸びています。
壁に「このあたりをつたっていってね」的なガイドが貼られていました。
右手で壁に触れながら、真っ暗な道を進んでいきます。

しかも、誰もいない(混雑時などは前後に人がいると思います)。
真っ暗な中を一人きりで歩くのはとんでもなくドキドキしました。
今ここで何かあっても逃げられない、と思うと怖いですよね(小心者)。
(ほんとにこっちでいいの? 道合ってる?)なんて自問自答しながら、とにかく壁を伝ってそろそろと歩いていきます。

暗闇を歩いていると、わりと遠くのほうで、「コレ、コレ、わかった?」という声がしました。
お父さんと子どものよう。
何がわかったんだろう、と思いつつ、とりあえずお戒壇内に誰かいることがわかって、少しホッとしました。

二回ほど角を曲がったあたりで(記憶曖昧ですが)、手すりのようなものに手が触れました。

おや? これはなんぞや?
引っ張ってみるとちょっと動く。
なぞってみると、上下にひし形というか、正八面体のような飾り(?)もありました。

これが、噂の極楽の錠前か!!
少し前に耳にした「コレ、コレ、わかった?」と息子にお父さんが問うていた理由を理解しました。
私も、もし誰かと一緒だったら「あ、これ? あったあった!」とか言ってしまったと思います。
「極楽の錠前」という名前から(錠という感じが入っているので)南京錠的なものなのでは? と勝手に予想していたので、意外でした。

満足のいくまで極楽の錠前を撫でた後、再び歩みを進めます。
徐々にぼんやり明るくなってきて、出口が近いことがわかるとホッとしました。

私が出るときには、お戒壇に入っていく方がゾロゾロといらっしゃいました。
一人きりで入れたのはすごくラッキーだったのかも(後ろから人が来ることもなかった)。
一人きりでお戒壇を歩くのと、見ず知らずの人の存在を感じながら歩くのとでは、感じ方が随分違うだろうなと思うので、貴重な体験でした。

御本尊と結縁できたぞ、と思うと、それだけでなんだか嬉しかったです。

おまけ 閻魔様の手ぬぐい

本堂の外陣には「閻魔王ならびに十王像」もいらっしゃいます。
閻魔様がモチーフになった手ぬぐいがあり(外陣)、即買いでした。

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閻魔様の手ぬぐい(左) (※右は松本市美術館で購入した草間弥生の手ぬぐい)

閻魔様の表情が素敵です。
ただ、こちらの手ぬぐい、参拝用(参拝時に肩にかけたり、頭に巻いたりする)のようなので、実用性はいまいちかも…。
全面にプリントがされているせいか、吸水性が普通の手ぬぐいよりは劣ります。
それでも裏返して使用していますが。
手ぬぐいの閻魔様と目が合うと、ホッコリしてしまいます。

びんずる尊者さん柄の手ぬぐいも作ってほしいです。

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