【上野】東京国立博物館 - 仏像スポットは本館1階11室
東京国立博物館はいつでもすごい
上野にある東京国立博物館(以下、トーハク)は、期間限定で開催される特別展でしばしば話題にあがります。
ちなみに現在は平成館にて「大報恩寺 快慶・定慶のみほとけ」を開催中。
特別展もすごいですが、常設の総合文化展もかなり見ごたえがあるのです。
じっくり見学していたら、とても一日ではまわりきれません。
なにせ、本館、東洋館、平成館、法隆寺宝物館、黒田記念館…と見学施設がいくつもある(※表慶館は非公開のことが多いです)。
トーハクについて
トーハクのメインとなる本館。
日本美術を包括的に知るならまずは本館へ。
本館は外国人観光客の方がたくさんおられ、それなりに混雑しています(とはいえ、見学するのに困るほどではない)。
ミュージアムショップも本館にあるのですが、外国人観光客の方が目を輝かせてお土産を選んでいるのを見かけるとなんだかうれしくなるものです。
個人的に好きなのは、東洋館。
アジアの仏像(石仏など)が多数展示されています。
ほんのり暗くて独特の雰囲気があり、無性に落ち着きます。
平日などは自分以外のお客さんが数名だけいらっしゃる程度のことも。
混雑が苦手な方や、ゆっくり楽しみたい方はぜひ。
仏像好きにおすすめな展示
彫刻や仏像好きの方におすすめなのは、本館1階の11室(彫刻)。
本館に入ってすぐ右手にある部屋です。
もちろん順路に従って、2階の第1室から見学するのもよいですが、時間が限られているときなどは11室に直行すると効率的です。
展示される仏像はたまに入れ替わるので、それも楽しみ。
しかも、写真を撮れる仏像もあります(撮影禁止のマークがあるものは不可)。
先日訪れたときの顔ぶれ(抜粋)
2018年5月時点のものです。
こちらの毘沙門天、目がクリッとしています。
踏まれている邪鬼も、毘沙門天の膝のところにいる獅子も、揃いも揃ってどんぐりまなこ。
彫った仏師の方が、どんぐりまなこ好きだったのでしょうか。
四天王って結構厳しいお顔の方が多いので、珍しいような。
こう言ってはアレですが、かわいいですね。
ちなみに、膝の獅子をモデルに描いた絵を、本ブログのアイコンに設定しています。
さてさて、最大の見どころを。
11室の奥のスペース(12室側)はステージのようになっていて、豪華です。
仏像にあまり興味がなさそうな方も思わず足を止めて写真を撮っておられます。
外国人の方が小声で「ワァオ~」と感嘆の声を漏らすことも。
いやー、美しい。
四天王が少し暗くなってしまったので、追加。
以前訪れたときは、このスペースには十二神将が展示されていました。
十二神将も見ごたえがあって素晴らしかったのですが、今回展示が変わって「おおっ」と嬉しくなりました。
※2018年10月追記
現在はこのスペースには、十一面観音立像が2軀、展示されています(撮影禁止のため写真はなし)。
トーハクのHPによると、「ジャンルや素材によって4~8週間ごとに展示替えを行っている」とのこと。
仏像コーナーは展示替えが大変だと思うので頻度は高くないでしょうが、次に行ったときに何が見られるか楽しみです。
トーハクのHPにも仏像好きにおすすめのコースが載っていました。
こちらは150分かけてまわる本格コースです。
トーハクについては、こちらの記事もどうぞ。
現在、平成館にて特別展も開催中です。
【京都】東本願寺 ーお堂の巨大さに圧倒される
京都駅からアクセス良好の東本願寺
京都駅にて、新幹線の時間まで一時間くらいあったので、東本願寺に寄りました。
京都駅を出て、京都タワーを通り過ぎて、まっすぐ歩くこと6~7分。
なんといってもアクセス良好。
しかも、お堂は無料で見学できます。
阿弥陀堂
阿弥陀門をくぐると正面に見えるのが阿弥陀堂。
写真だと伝わりにくいのですが、とにかく大きい。
入口で靴を脱いで、ビニール袋に入れて持ち歩く観光スタイルです。
ベビーカーや大きなトランク類は置く場所がありました(鍵もかけられる)。
こういう心遣いはありがたいですね。
私はボストンバッグでしたが、重くて疲れていた(少しの時間だから持ち歩きで大丈夫だろうとロッカーに預けなかった)ので、ここに置かせてもらいました。
おかげで身軽な状態で楽しめました。
お堂内部も巨大な空間です。
天井が高いので、広いというより、巨大な空間、と表現するのがしっくりきます。
内部には警備員の方も常駐しており、さすが観光地、という感じ。
お堂の畳に座って、仏画や欄間の彫刻を楽しみました。
阿弥陀堂と御影堂間にある展示物
阿弥陀堂から御影堂に移動する通路には、毛綱(けづな)や大橇(おおぞり)が展示されています。
毛綱とは、毛髪と麻を撚り合わせて編まれたもの。
大きな木材を運ぶ際に丈夫な綱が必要だったのだそうです。
ちょっと写真がイマイチですが、通行人の方の影と比べると太さなんかもおわかりいただけるかと思います。
髪の毛って強いんだなぁ…としみじみ思ったのでした。
ちなみにこの通路から門側を見るとこんな景色です。
きれいですね。
御影堂
御影堂内部は阿弥陀堂とだいたい似たような感じでした。
御影堂から観る御影堂門もいいです。
写真手前の影の大きさが御影堂の大きさを物語っています。
おわりに
東本願寺の見どころはお堂の巨大さだと思います。
仏像などは(公開されているところにはほとんど)ないので、建造物や空間を楽しむ感じになります。
この迫力は一見の価値ありです。
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京都駅から徒歩で行ける東寺の記事もどうぞ。
【奈良】入江泰吉記念 奈良市写真美術館 ―新薬師寺のすぐ近く、美しい館内でほっと一息
新薬師寺の近くには入江泰吉記念奈良市写真美術館があります。
せっかくなので寄ってみました。
入江泰吉さんは奈良出身の写真家。
奈良の風景やお寺、仏像などの写真で有名です。
入江さんが奈良市に全作品を寄贈したことからオープンに至ったそうです。
訪問時は『古都奈良の文化財 東大寺・春日大社・春日山原始林』の展示をやっていました。
おなじみの東大寺や春日大社ですが、春夏秋冬、いろんな表情を見せてくれます。
もやがかかったようなシーンを切り取るのが得意な方という印象を受けました。
入江泰吉カレンダー2018 奈良大和路 春夏秋冬 ([カレンダー])
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- 発売日: 2017/10/02
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上田義彦さんの『FOREST 印象と記憶 1989-2017』も同時開催です。
こちらは森の中の木々の写真。
ドライに言ってしまえば木々が映っているだけなのですが、それが不思議と絵になるのですよね(それがプロたるゆえんなのでしょう)。
クィノルトなる森の写真はとくに美しかった。
自然の緑の中に、ちょっと青みがかった緑が映えていました。
館内にカフェも併設されていますので、新薬師寺観光で疲れたときなどにも良さそうです。
何より、建物がきれい。
一階ロビーの椅子に座って空間自体を楽しみました。
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写真美術館の近くには新薬師寺があります。
あわせてどうぞ。
shishi-report03.hatenablog.com
【奈良】新薬師寺 ― 十二神将に守られし薬師如来
奈良には薬師寺と新薬師寺があります。
「新」と頭につくくらいだから、比較的新しいのかと思いきや、新薬師寺の創建はなんと747年。
聖武天皇の病気平癒を願ってつくられたそう。
バス停「破石町」から徒歩15分。
受付にて600円支払います。
門の写真を撮り忘れたのでいきなり本堂。
本堂に向かって伸びる石畳を歩いていたら、石畳の溝に足をとられ、膝からくずれ落ちました。
子供の頃以来、久々にコケました。
膝カックンをされたときのように崩れ落ちた感じで、豪快に転ばずには済んだので、負傷なし。
少し手をついたけれど、かすり傷ひとつなく。
「お寺で転ぶと云々」という言い伝えがいろいろあると思いますが、ここはポジティブに「厄落とし」が済んだ、と思うことにします(実際、今のところ好調)。
さて、気を取り直して、本堂に入ります。
本堂に入ると、薬師如来と十二神将が迎えてくれます。
お堂自体は暗いのですが、仏像を照らす照明は妙に明るくて、ステージ感がありました。
ふくよかな薬師如来さん。
(こう言っては失礼かもしれませんが)愛嬌のあるお顔。
つい親しみを覚えてしまう表情です。
昔はお医者さんもいなかったので、病気になっても祈るしかなかったそう。
そんなときにこの薬師如来さんのお顔を見たら、やっぱりホッとしただろうな、と思うのでした。
薬師如来さんを囲む十二神将も有名。
護衛中なので、みなさん厳しい表情です。
それぞれに担当の干支があります。
自分の干支の担当である大将の前にローソクを立て、ご挨拶。
良い時間でした。
最後に境内の写真を。
春日大社やら東大寺からは少し離れた場所にあるので、静かで落ち着けます。
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新薬師寺の近くには写真美術館や頭塔もあります。
【奈良】頭塔 ―奈良時代の和製ピラミッド!?を独り占め
あまり知られていないけれど、見応えがある。
そんな場所が大好きです。
旅行の際は、有名どころももちろん行きますが、「そこまで有名じゃないらしいけどなんかよさそう」なところにも必ず足を運びます。
最近良かったところは奈良の「頭塔」。
東大寺から南に約950メートル、新薬師寺からは西北西約700メートルのところにあります。
近鉄奈良駅から歩いても25分くらいという好立地。
歩くのがしんどい方はバスで破石町(わりいしちょう)まで行けば、そこからすぐです。
数年前まで見学に予約が必要でしたが、現在は予約不要。
ホテルウェルネス飛鳥路さんのフロントに寄って、頭塔を見学したい旨を伝え、300円を支払うと見学できます。
さて、見学料を支払ったらホテルウェルネス飛鳥路さんの駐車場へまわります。
するともう現れる!
住宅街を歩いて、フロントに寄って、駐車場……という想定内の景色から、一気に不思議な世界へと変わります。
右側に頭塔への入口があり、見学デッキ、見学小広場につながっています。
見学小広場には説明パネルやベンチもありますので、少し休憩するのにもいいかもしれません(屋根もあります)。
私は興奮してしまって、休憩どころではありませんでしたが。
北側にある見学小広場から頭塔を見上げます。
ななな、なんですかこれは。
ということで、頭塔の説明を。
お坊さんの頭を埋めたお墓、という伝説があるそうですが、本来の「土塔(どとう)」がなまって「(頭塔)ずとう」になったのではないかということです。
役割としては仏塔(仏さまの骨を納める塔)のようです。
(頭塔パンフレット参照)
ざっくり言ってしまえば五重塔の親戚みたいなものでしょうか。
頭塔を囲むように見学デッキが設置されていますので、東西南北、すべての方向から見学することができます。
庇の下には石仏が配置されています。
南側に回ってみると、景色は一変。
森のごとく木々が生い茂っています。
案内板もあるので、本来はこちらが正面なのでしょうね。
どうして南側だけ木々が生えている状態かといいますと、北半分を復元、南半分を現状保存しているから。
復元前は以下のような感じだそうで。
北東側にも木々が生えていました。
半分だけ復元って、なんかいいな、と思いました。
全部復元したほうが見栄えは良くなるのかもしれませんが、古いものをそのまま見たいという気持ちもある。
両方見られて得した気分です。
さて、東側に回ります。
復元していない箇所は、(たぶん)崩れないように木の囲いがしてあります。
復元とはいえ、この石積みの感じ、素敵です。
あまりに美しいし、他に誰もいないし、居心地がよすぎる。
頭塔の周りをぐるぐるぐる何周もしてしまいました。
私は一時間弱滞在しましたが、さらっと観るなら十分程度でも充分だと思います。
奈良の観光スポットはけっこう観たよ、という方、頭塔もおすすめです。
とはいえ、あまり有名になりすぎないでほしい気持ちもあったりして。
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頭塔からは元興寺と新薬師寺が比較的近いです。
【奈良】元興寺 ー今も活躍する飛鳥時代の瓦・隠れ鬼を探そう
雨上がりのしっとりした空気の中を歩き、元興寺へ。
北門側に着いてしまったので、通路を通って受付のある東門側へ。
拝観料500円を支払い、境内に入ります。
極楽堂
シンプルな建物ですが、美しい。
靴を脱いで上がると、鼻をくすぐるお香の匂い。
雨上がりの朝という天候も手伝ってか、ものすごく静謐な気持ちになりました。
本尊は智光曼荼羅(極楽浄土図)の中の阿弥陀如来だそうです。
法輪館
仏像たちはここに集められていました。
下記は元興寺HPの写真を印刷し、旅ノートに貼ったものです。
記憶が曖昧&紙面の都合上、配置は目安としてお考えください。
ショーケースに入れられていない仏像もあり、わりと至近距離で観ることができました。
混雑していないのでゆっくり眺められます。
仏足石・浮図田、たまに鬼
法輪館の手前にある仏足石と浮図田も見ものです。
中央付近の灰色の石板に仏の足跡が描かれています。
仏足石に隠れるようにして頭を抱えているのは鬼さん!?
(歴史あるお寺でこんなことを言うのはアレですが)なんとシュールな。
憎めない。
こういう感じ、嫌いじゃないです。
いや、むしろ鬼、好きです。
こちらは浮図田。
写真からもわかる通り、浮図田とは、仏像や仏塔などが並んでいる場所、とのことです。
一つひとつは大きいものではありませんが、これだけ並んでいると迫力あります。
仏像や仏塔に限らず、「同じものが整然と並んでいる」という状況は、それだけで独特な雰囲気が醸し出されますね。
はっ! またも鬼さん発見!
さりげなーく居る感じ、よーく見ないとわからない感じ、この感じ…以前にも感じたことがあるような、ないような。
そうだ、隠れミッキー的なのだ、と気づきました(隠れミッキーよりは隠れていませんが…)。
調べてみたところ、私が見かけた鬼のほかに、少なくともあと二体の鬼がいるらしいことがわかりました。
というのも、元興寺には鬼伝説というものがあるのですね。
その昔、元興寺の鐘楼に悪霊の変化である鬼が出て、都の人たちを随分こわがらせたことがあります。その頃、尾張国から雷の申し子である大力の童子が入寺し、この鬼の毛髪をはぎとって退治したという有名な説話があります。この話から、邪悪な鬼を退治する雷を神格化して、八雷神とか元興神と称することになり、鬼のような姿で表現するようになりました。元興寺にまつわる鬼のことをガゴゼとかガゴジとかガンゴなどの発音で呼ばれ、日本全国にも伝わっているようです。
(元興寺HPより引用)
元興寺では隠れ邪鬼を探すのも一つの楽しみ、といえそうです。
古瓦
このあたりから極楽堂の方を見るとこんな景色。
極楽堂の屋根を見ると、色味が少し不揃いな感じがします。
というのも、飛鳥時代からの古瓦が現役で使用されているのです!
修理の際に使用可能な古瓦を集めて、使用しているとのこと。
ものすごく手間がかかっていますね。
北側にまわって、こちらは禅室。
国宝です。
極楽堂の横にはかえる石も。
元興寺、意外と盛りだくさんでした。
空いているし、気持ちを落ち着けるにはもってこいの場所です。
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元興寺からは少し歩きますが、新薬師寺の仏像も見ごたえあり。
【奈良】興福寺 東金堂 ―厳しいお顔の維摩居士像
奈良に行くと、興福寺に必ず寄ります。
貴重な仏像がたくさんいますし、駅からのアクセスが良好。
時間の都合上、今回は東金堂のみ見学しました。
(リニューアルしたばかりの国宝館も観たかった!!!!)
雨が降っていて写真を撮る余裕がなかったので、一昨年の写真を。
東金堂の本尊は薬師如来。
日光・月光菩薩、さらに文殊菩薩、維摩居士が薬師如来の両脇を支えます。
彼らを囲むように配置された十二神将と四天王。
中でも個人的に注目するのは維摩居士(ゆいまこじ)像。
維摩さんという方は、維摩経に出てくる在家者(出家していない仏教徒)です。
在家者でありながら、仏教を極めており、弁舌に長けるお方。
私の勝手なイメージだと「ズバッと矛盾をついてくる賢者」といったところでしょうか。
維摩さんが病を患ったとき、お釈迦さんが弟子たちにお見舞いに行くよう言うのですが、誰も行きたがらない(皆、維摩さんにやり込められた経験があるので)。
そこで文殊菩薩さんが行くことになります。
維摩さんのお宅で二人が問答するシーンが有名です。
東金堂には、この役者二名がそろっているのです(しかも国宝)。
若者らしくつるりとしたお顔の文殊さんと、熟成し皺の刻まれたお顔の維摩さん。
維摩さんは、眉間にしわを寄せ、少々厳しい表情をされています。
いざ維摩さんの前に立ってみると、なんか怒られそう…。
釈迦の弟子たちがお見舞いに行きたがらなかったのもなんとなくわかる気がする(笑)。
ということはつまり、維摩経のワンシーンをうまく再現しているということですから、この維摩さんの像を作った仏師の方の腕もすごいなあ、と思うのです。
維摩経について詳しく知りたい方はこちらが読みやすいです。
100分de名著 『維摩経』 2017年6月 | NHK出版
東金堂にいると、妙に心が落ち着いて、一日の疲れが吹き飛びました。
維摩さんだけでなく、他の仏像も必見です。
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